昨夜、夕飯を食べていたら、テーブルの下からカチャカチャとひいの爪が床に触れる音がし、それは聞き慣れたものと明らかに違った。滑っているような、必死に体勢を立て直そうとしているような気配に嫌なものを感じ、覗き込んでみると、腰砕けになりそうになって後ろ脚を振るわせながら持ちこたえているひいの姿があった。 「なにか変なもの食べた?」 不安に満ちた妻の第一声に、何ごとが起こったか理解できず呆然としていた私は頭から冷水をかけられたような気がした。 椅子から離れ床にしゃがんでひいと目線を合わせると、後ろ脚が麻痺して自由が利かない不自然な歩きかたでひいがテーブルの下から出てきた。時計を見上げる。診療時間は終わっているが、動物病院にまだ誰かがいてもおかしくない時刻だった。動物病院の診察券に記された番号に電話をかける。 「186をつけるか、番号通知電話からお電話ください」 と機械の声がした。 186をつけてみたが、留守電になっている。 「私、走って行って、診てもらえるように頼んでくる」 妻が携帯電話を手に取り家を飛び出した。 ひいはなんとかソファーにあがり、お座りをした。どうしたんだ、ひい。しびれるのか、痛いのか、それとも苦しいのか。私は問いかけつつ、ひいを見守るほかなかった。なかなか妻から連絡がない。かかりつけの動物病院まで、歩いても五分といった所だ。先生と交渉をしているのだろうか。こんなことならと、ひいを抱いて私も動物病院に行こうとしていると妻が戻ってきた。 「今日、水曜だった。休診日」 私たちは曜日すら忘れ焦っていたのだ。 ひいはソファーの上を行ったり来たりしている。もう麻痺している様子はない。しかし、安心してよいとは思えなかった。私は表に出てクルマに乗り込み、カーナビに動物の夜間診療所の住所を打ち込んだ。いつか必要になるかもしれないと保管していた夜間診療所のパンフレットが手元にあるとはいえ、新型とは言い難いカーナビの反応が遅く住所の打ち込みが捗らない。くそったれ。いつも右へ曲がれ、左斜め側道に入れ、直進しろなどと何もかも知り尽くしているような態度のくせして、肝心な時、おまえはなんでこうも役立たずなんだ。 クルマに乗り込みエンジンをかけたせいで、ひいは私がどこか遠くへ行ってしまうと思ったらしく、一緒に乗りたいとクルマの周囲を
この読み物は「ひい」こと「ひかり」の我が家での生活について書いたものです。ひいは乳飲み子のとき千葉の動物愛護センターから救われた犬で、2008年の4月(生後6カ月時)に当家の住人になりました。
お久しぶりです。
返信削除え?
ひいちゃんは、お世辞でもなんでもなく、
とってもキレイな顔だと昔から思ってま~す、私。
今風に言うと、「シュッ」とした顔っていうのでしょうか。
好みだと思いますけど、例えばバニーは丸い可愛い顔で、
ひいちゃんは「シュッ」とした顔。
(わかりづらいですかね。。。)
上から2番目の、白黒でたくさんのおもちゃを
見つめているひいちゃんの写真がとっても可愛い☆
こちらこそ、お久しぶりです。ほんとうに申し訳ないくらい音沙汰もなくて申し訳ありません。
削除暑い日が続いて体調を崩しやすくなっていますが、かわいいチコリちゃん、珀ちゃん、ブーチちゃん、預かりの仔たちの健康とともに、コズエ様ご夫妻のますますのご健勝をお祈りしております
親ばかというのでしょうか、私と妻にとってひいは美人さんでかわいくてたまらないのです。で、褒めると人は伸びると言いますよね。女優さんも褒められて、人に見られて美しくなりますから、毎日、ひいにかわいいよ、大好きだよ、愛してるよ、優しい子だよ、などと何回も言い続けています。
ひいはどんな親の仔だったのかと、彼女の顔や姿を見ながら妻と話しています。マリノアに似てるんですよ。軍用犬になったりするシェパードですが、耳の色分け、口黒のところ、顔の造作、頭骨の形、全身のシルエットと。特に、耳の斜め下というかほっぺたにある、シェパード特有の黒いポチっとしたものとか。
たぶんマリノアは入っていなくてもご先祖がシェパードだったのでしょう。
立派なご先祖様に似ず甘ったれで、最近はオカアに嫉妬してオトウを独占しようとしたり、年頃の女の仔みたいな感じで暮らしております。