朝、顔を洗おうと前屈みになったとき続けざまにくしゃみが出た。激痛が脳天まで駆け抜け、身動きが取れなくなった。ぎっくり腰だ。このときから一日の大半をベッドで過ごさざるを得なくなった。 寝ていれば腰が楽とは限らない。寝返りを打とうにも体をねじるたび激痛が走る。「ううっ」とか「ああっ」と情けない声をあげて寝ていると、ひいが枕元にやってきてこちらを覗き込む。痛みを堪えてよたよた散歩に連れ出すときはおぼつかない私の足取りなどおかまいなしなのに、しおらしい表情をしている。 クウと小さな声で鳴かれて、腰が痛くて反応できずにいると、じれったそうに鼻先でつんつんと肩のあたりをつつく。「あのあの、あの。動いて」と言っているみたいだ。顔だけでニイーッと笑ってやった。ひいはおもむろに掛け布団に潜りこんできて私の胸にくっつくや、ぐいっ、ぐいっ、とさらに体を押し付けてきた。うとうとしてはっと目が覚めると、いつの間にかひいは仰向けで寝ているやや開き加減の股の間にいて、スウェットのズボンの上から足を舐めている。 ひいよ、そこにおまえがいると腰が痛むんだ。 太ももでひいを押してみた。するとすぐに股の間から出た。この隙に、寝返りを打ち横向きになると、ひいは膝の内側に倒れ込みまた体を密着させてきた。 二、三時間こうしていただろうか。いつまでも寝てはいられないと恐る恐るゆっくり上半身を起こすと、ひいがひょいっと布団から顔を出してこちらを見つめた。 「オトウが動けないから心配だったのか。ごめんな」 ひいの眼は真剣だった。 「ありがとう。ひいのことが好きだよ」 ひいの耳がピンと動きこちらを向いた。 「好きだよ」 眼に安堵の色が浮かんだのがわかった。 このときからひいは「好きだ」の意味を理解したようだ。「好きだ」と言うと眼を細める。 人と犬。なぜ違う生き物がいっしょに暮らせるのか不思議でしかたないが、こんなところに謎を解く鍵があるのかもしれない。
この読み物は「ひい」こと「ひかり」の我が家での生活について書いたものです。ひいは乳飲み子のとき千葉の動物愛護センターから救われた犬で、2008年の4月(生後6カ月時)に当家の住人になりました。








お久しぶりです。
返信削除え?
ひいちゃんは、お世辞でもなんでもなく、
とってもキレイな顔だと昔から思ってま~す、私。
今風に言うと、「シュッ」とした顔っていうのでしょうか。
好みだと思いますけど、例えばバニーは丸い可愛い顔で、
ひいちゃんは「シュッ」とした顔。
(わかりづらいですかね。。。)
上から2番目の、白黒でたくさんのおもちゃを
見つめているひいちゃんの写真がとっても可愛い☆
こちらこそ、お久しぶりです。ほんとうに申し訳ないくらい音沙汰もなくて申し訳ありません。
削除暑い日が続いて体調を崩しやすくなっていますが、かわいいチコリちゃん、珀ちゃん、ブーチちゃん、預かりの仔たちの健康とともに、コズエ様ご夫妻のますますのご健勝をお祈りしております
親ばかというのでしょうか、私と妻にとってひいは美人さんでかわいくてたまらないのです。で、褒めると人は伸びると言いますよね。女優さんも褒められて、人に見られて美しくなりますから、毎日、ひいにかわいいよ、大好きだよ、愛してるよ、優しい子だよ、などと何回も言い続けています。
ひいはどんな親の仔だったのかと、彼女の顔や姿を見ながら妻と話しています。マリノアに似てるんですよ。軍用犬になったりするシェパードですが、耳の色分け、口黒のところ、顔の造作、頭骨の形、全身のシルエットと。特に、耳の斜め下というかほっぺたにある、シェパード特有の黒いポチっとしたものとか。
たぶんマリノアは入っていなくてもご先祖がシェパードだったのでしょう。
立派なご先祖様に似ず甘ったれで、最近はオカアに嫉妬してオトウを独占しようとしたり、年頃の女の仔みたいな感じで暮らしております。