私が風邪をこじらせたり、冷たい雨が降ったりと、ひいを長らく洗ってやれなかった。 体臭が強くなるとか、皮脂で毛が汚れたりはしていないが、このまま梅雨に入るのはどうかという気がする。 本日は快晴、気温も上がっている。私はまだ体が本調子ではないので、妻にひいを洗ってもらうことにした。 実は実家で飼っていたダーリンという名の犬は、正月にそなえて体を洗ったところ、これが元で体調を崩し寝たきりになった。風呂上がりに冷えたのがいけなかったのだ。この前例があるので、ひいを洗うのは快晴で気温が高い日と決めている。 洗われて風呂場から逃げ戻ってきたひいは、毎度のことながら居間のあちこちをしっちゃかめっちゃかにしながら、まだ乾いていない体をソファーやありとあらゆる布にこすりつけた。想定内のこととはいえ、どうにかならないものか。 毛を乾かしたあとはブラッシングだ。 出る出る、落ちる落ちる。冬の間、ひいを寒さから守っていた綿のようなアンダーコートが床いっぱいに拡がる。まるで羊の毛刈りだ。 掃除はたいへんだけれど、徹底的に落としちゃえ。 ブラッシングを終えたひいは、ひとまわり痩せて見える。 これでようやく、ひいの夏がはじまる。今年の夏がはじまる。
この読み物は「ひい」こと「ひかり」の我が家での生活について書いたものです。ひいは乳飲み子のとき千葉の動物愛護センターから救われた犬で、2008年の4月(生後6カ月時)に当家の住人になりました。