夜中の一時頃になると、二階の床下、つまり一階の天井の上で、カリカリカリカリと音がする。寝入ったばかりのとき目が覚めるだけでなく、とても気に障る音で、一時は神経衰弱寸前にまでなった。市のサービスを利用して駆除業者にきてもらい、あれこれあって問題はいまのところ解決した様子である。
この間、一ヶ月ほどだったが、人間は弱り切っていたのに、ひいはネズミが立てるもの音にまったくしらんぷりだった。人間より耳がよいはずなのに、なぜ反応しなかったのか理由はわからない。
そうかと思うと、ひいは何の気配もない一点を見つめることがある。
くつろいでいるとき、甘えているとき、突然、動きを止めて虚空を凝視する。
住み慣れた家だから、いまさら新しい何かを見つけたわけではないだろう。
まして、真っ昼間から幽霊でもあるまい。
しかし、あの憎たらしいにも程があるネズミが立てる音よりも気になる何かがあるから真剣に見つめるのだ。そして、いつものひいに戻る。
ちなみに写真のひいが見つめる先には、カポーティの「冷血」があった。
コメント
コメントを投稿